鉄は人類の文明に大きな影響を与えてきた金属です。京大化研では、医・農薬原体の鉄触媒による有機合成や、酸化物中で異常高原子価鉄イオンが示す新奇な物理特性の発見など、鉄の新たな可能性を切り拓いています。
古く「吉備国」と呼ばれた岡山は、古代鉄文化の故郷です。備前刀や備前焼、吹屋 弁柄など、今なお薫る郷土の文化を後世に伝え、発展させるべく岡山大学では、鉄の 新たな可能性求め、新材料の創製に取り組んでいます。
世界の安心・安全を支えているのは鉄鋼材料です。鉄と炭素のマリアージュが強靭な鋼(はがね)を生み出しました。その基礎学理を追究し、従来の常識を凌駕する革新的鉄鋼材料創製につながる研究を進めています。
鉄は電子材料の機能性元素として重要で、私たちは磁性元素にも関わらず超伝導状態を示す鉄系高温超伝導体を創出しました。高効率な触媒機能材料等を含め、鉄=多存元素材料による持続可能社会への貢献を目指します。
材料研究の歴史は鉄から始まったと言っても過言ではないほど、鉄は大変身近で重要な元素です。鉄の研究からスタートした金研は、百年以上に渡り、構造材料や磁性材料など、真に社会に役立つ材料を作り続けています。
鉄は資源として豊富で、安価である、というだけでなく、低環境負荷で生体安全性が高いという優れモノです。一方、使いこなすには、一筋縄ではいかない気難しい元素です。基礎から応用まで挑戦的研究を期待します。
安価で強靭な鉄はインフラを支える構造材料として広く使われています。NIMSは強靭な鉄鋼材料の開発とその安全利用に不可欠なクリープや疲労試験を系統的に行い、貴重な信頼性データを産業界に提供しています。
鉄は超新星での元素合成の最終生成物であり、宇宙に最も沢山存在する重元素です。私たちはこのユニークな性質に着目して、炭素-水素結合活性化や工業的不斉合成など、有機合成化学の新天地を切り拓いています。